Example of 8-points fast Walsh-Hadamard Transform
本システムの概念図．青い部分が必要な周波数に対応する値であり，灰色の部分は計算する必要のない値である．Concept of this system
時系列デジタルデータにおける周波数領域への変換に要する計算コストは，周波数分解能を向上させるほど増大するため，必要最低限の周波数分解能で周波数領域へ変換を行うことが望ましい．高速フーリエ変換やWalsh-Hadamard変換などにおいて，周波数分解能はサンプリング周波数/データ数で決まる．
逐次的なデータの追加によって逐次的に周波数分解能を向上可能であれば，必要な周波数分解能に達した時点で計算を打ち切ることによって計算コストを最小限に抑えることが可能である．Walsh-Hadamard変換の性質に注目して，半分の周波数分解能での変換結果を用いた，変換結果の逐次的追加により周波数分解能向上可能なWalsh-Hadamard変換アルゴリズムを提案する．
本研究によって，低い周波数での2つのWalsh-Hadamard変換の結果を用い，2倍の周波数でのWalsh-Hadamard変換の結果を得る事が可能となる。
既に計算されたWalsh-Hadamard変換の結果を用いて，2倍の周波数分解能での高速Walsh-Hadamard変換の処理の約半分を削減することに成功した．
高精度な計算を行う際にも同じ高速Walsh-Hadamard変換結果のみから統合できるため，常に同じ変換を行う送信機から信号を受信し，必要な周波数分解能が得られるまで受信するシステムや，受信可能であった信号から最大限の周波数分解能での変換結果を得るシステムも考えられる．
【参考文献】
奥谷文徳，川原圭博，浅見徹，“データの逐次的追加による周波数分解能向上可能なWalsh-Hadamard変換(A-8. 信号処理，一般セッション)，”電子情報通信学会総合大会講演論文集，vol.2016.