無線LANとは

無線LANの概要

無線LANはPHSや携帯電話と同じく無線による通信方式の一つです。使用している電波の周波数は2.4GHz帯で、ISMバンドと呼ばれ、医療用装置、アマチュア無線、電子レンジ、等が使用しています。これら他の機器からの電波干渉を回避するため、無線LANではスペクトル拡散という技術を使用しています。

無線LANは専用線やダイアルアップと異なり、常時接続で使えるLANを構成します。最近では市販の無線LAN機器(IEEE802.11bという仕様に準拠しています)が安価に入手可能となっています。このため、オフィス内PCのネットワークを無線LANで構築するケースが増えています。

一方、電波免許が不要であることから、自営設置する場合は回線使用料が不要となります。このため、オフィス内ではなく屋外において、特に自治体や公共機関などのネットワーク構築に用いられて来ています(図1)。このような場合、無線LAN機器をビル屋上に設置して関連機関(学校、役所、図書館、公共機関、など)を接続する自営ネットワークを構築し、どこか一点(役所など)でインターネット事業者に加入する、という使い方が一般的です。また、無線LAN機器は屋外設置用のタイプを使うことになります。

このような屋外での自営網構築を目的に、いろいろな製品がでてきています。一例を図2に上げますが、これはシスコのエアロネットという製品です。奄美のネットワークでは、諸鈍小中学校、与路小中学校の接続に使っています。

図1 無線LANを用いたビル間アクセスの例

図2 屋外用無線LAN(シスコ社製エアロネット)

KDDIグループの無線LANへの取り組み

(株)KDDI研究所は、所在地の埼玉県上福岡市のご協力を得て、1999年12月から2000年7月末まで、無線LANによるインターネット接続の実験を行いました。上福岡市内の小中学校(全て)、上福岡市役所と関連公共機関、および個人の参加者を無線LANで接続しました。上福岡無線LAN実験についてはこちらをごらんください。

(株)KDDIと(株)KDDI研究所は、通信放送機構(TAO)からの学校インターネット2プロジェクト受託研究の一つとして、群馬県太田・伊勢崎地区で無線LANネットワーク構築(太田市情報センターを中心に中学・高校を接続)を行いました。ここで使用した機器は、サザンクロスプロジェクトと同様に、(株)KDDI研究所で開発したCFO-SSシステムです。

また、2002年4月からは、噴火が想定される岩手県・滝沢村では、無線LANを利用した防災・災害支援ネットワーク実験(シグナスプロジェクト)を進めています。

(株)KDDIの子会社で無線LAN構築の設計・施工・保守を提供している(株)KDDネットワークシステムズは、、静岡県沼津市で防災を兼ねた無線LANネットワーク構築(無線LAN機器として市販のLB-SS2システムを使用)、などを行っています。

無線LANのチュートリアル資料(概要、上福岡無線LAN事例、サザンクロス事例)はこちら(パワーポイント資料をpdfにしてあります)です。

無線LANに関するQ&A

ISMバンド
ISM(Industrial Scientific Medical)バンドとは産業科学医療用に用意された周波数であり、2.4GHz帯は既に電子レンジや医療用メス等のために利用されている(図2)。無線LAN用の周波数として、1992年12月の電波法に基づく無線設備規則などの郵政省令の公布・施行に伴い整備された。また、1999年12月には、米国等との周波数の共通化を図るため、第二世代無線LANシステム用に通信帯域幅の拡大(26MHz→83.5MHz)等の規制緩和が行われた。

図2 ISMバンドの周波数割当て

●天候の影響
2.4 GHz帯では雨・雪の影響はほとんどなく、降雨による減衰は無視できる。また、雷の影響については、避雷器により装置破壊を回避する。

●人体への影響
PHSと同じ小電力システムのため、基本的に人体への影響は無いと考えてよい。携帯電話は電力が大きく、ペースメーカへの影響が報告されている。

●医療機器の影響
医療機器への影響は無視できるが、レーザメスやハイパーサーミア等の医療用ISM機器からの干渉の影響は受ける。通信チャネルの切替え等により対処可能である。

●通信距離
使用するアンテナの利得と周囲の環境によるが、通常は5〜10km程度である。アンテナ間では、見通しが得られることが基本となる。

●見通しとは?
建物と建物の間から見えている程度では、安定した通信は難しい。アンテナ間にある程度の空間が求められるため、設置にあたっては事前調査が望ましい。あわせて、設置予定場所の干渉調査も行うことができる。

●海上通信は難しいのか?
海面からの強い反射波が干渉(マルチパス)として受信される可能性が高いため、通常は安定した通信が困難と予想される。海上通信では今回サザンクロスプロジェクトの記録(11.3Km)が最長である。

●樹木、鳥などによる影響
見通しが前提だが、多少の樹木であれば通信可能である。鳥による影響は無い。パケットにエラーが発生したとしても無線区間でパケット再送を行うため、パケットが失われることは殆どない。

LANであるとは
ダイアルアップとは異なり常時接続状態で、オフィス内のLANと同じであること。例えば、与路島診療所のPCで文書を作成して、古仁屋診療所のプリンタに出力できる。両診療所間のPCでファイルの共有もできる。今回の実験では、特定のシステムや機器による遠隔医療・講義ではなく、「インターネットでつながるといろんなことができる、医療面ではどのような使い方があるだろうか」を評価する。

●映像や音声を送ることはできるか?
映像であればMPEGやJPEG形式、音声であればVoIP(Voice over IP)を用いれば、無線LANを用いて伝送することができる。ただし、無線LANは映像や音声のための専用回線ではないため、テレビや電話に比べると品質が落ちる場合がある。

●今回使うビデオ通信システム?
KDDI研究所開発の双方向画像通信システムQualityMeetingを使う。本システムは、無線LANなどのエラー発生環境でも十分の品質を確保できるものである。学校インターネット2プロジェクトなどでも利用されているPrimeシリーズの一製品である。専用装置ではなくPC内のソフトだけで動作するので、LAN内の一般事務用PCと共用利用ができる、操作が簡便でPC操作の範囲で扱える、などの特徴がある。